インフルエンス賞

インフルエンス賞の対象となるのは、活動規模の大小を問わず、リジェネレーションや再生支援の分野において、政策や規制、世論に影響を与えるキャンペーン活動やロビイング活動を行っている団体およびネットワークです。


2025 受賞者

インフルエンス賞(資金提供額45,000ポンド = 日本円換算 約875万円)はリジェネレーションを支える政策や規制、世論へ影響を与えるキャンペーンやロビー活動を行う3つの団体に授与されました。このカテゴリーには1件のインフルエンス賞と2件のインフルエンス:アグロエコロジー賞が含まれます。

勝者

Amazon Research Internacional

Amazon Research Internacional(ARI)は2021年に設立されたペルーを拠点とする団体です。伝統的な知識と現代科学を融合させ、生物多様性や文化、コミュニティを守りながらも、持続可能な形でのアマゾン熱帯雨林の再生に取り組んでいます。

ARIは保全や研究調査、教育、コミュニティエンパワーメントを通じて、生物多様性や生態系、先住民的知識の保護に焦点を当てています。気候変動の緩和、生物種と生態系の再生、伝統的知識の昇華、自然と文化の両方に利益をもたらす暮らしの強化をミッションに掲げています。

ロレートやジュニン、マドレ・デ・ディオス、クスコといった4つの地域で活動するARIは、5番目のリージョナルパイロットとしてボリビア・アマゾンのエセ・エジェ(Ese Ejje)の女性たちとも提携しています。ARIが協力しているクカマ・クカミリア、アシャニンカ、ハラクブトの各コミュニティはそれぞれ独自の世界観を持っていながらも、自然と人間の相互関連性に対する信念によって結束しています。

この団体は特にアマゾンの生態系と文化に不可欠なハリナシバチに焦点を当てています。ハチの減少によって、土壌の健康や食物連鎖、伝統的医療、そして何世紀にもわたって伝わる文化的知識が脅かされています。ARIはハリナシバチに関する伝統的知識を文書化し、画期的な科学的研究調査を進めることで補完的にこの状況へ対処しています。

また現在、Earth law Centerと提携し、ハリナシバチに関する初の自然権(RIghts of Nature)宣言を策定しています。これはアシャニンカのコミュニティが主導するもので、現地自治体へ提出され、最終的には法的保護に向けて議会へ提出される予定です。

  • 2025
  • Influence Award

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勝者

Glasbren CIC

Glasbren(ウェールズ語で「若木」の意)はパーマカルチャーのスキルや栄養価の高い地元食材へのアクセスを提供し、コミュニティ規模の農場が果たす生態学的および社会的、文化的再生における役割について探るべく、設立されました。

設立初期、団体は3エーカーの包括的にデザインされた食にまつわる生きた景観を創出し、そこから最大50世帯に毎週野菜ボックスを提供するコミュニティサポート型べジボックスプログラムを実施しました。

パンデミックや生活費危機のなか、GlasbrenはSocial Farms and GardensやUWE Bristol、地方自治体、フードバンク、慈善団体、ウェルビーイングハブなどの団体と提携し、連帯型野菜ボックスプログラムを試行した上で、不平等や食料貧困、廃棄慣習、食に関する健康問題を解決するにあたって農場がどう貢献できるかについて探りました。Glasbrenは季節に合わせた食事や食物栽培に関する無料のワークショップやビデオ、リソースを提供し、現地の子どもや学校とも連携して活動に取り組みました。結果的に、定例かつオープンなコミュニケーションやボランティアプログラム、コミュニティイベント、祝宴会、オープンデイ、そして地域および全国で戦略的パートナーシップを育む形で、自然発生的パーマカルチャーコミュニティを醸成しました。

2023年、Glasbrenは自然や人間、地球のために活動するという使命を抱く134エーカーのナショナルトラスト農場の長期的管理者に選出されました。新しい農場は元の場所からわずか9マイル離れた場所に位置しており、既存のコミュニティネットワークを活用しながら、Glarbrenはコミュニティハブを構築し、アクセスしやすく安全な地元産食料を供給し、このような農場が再生の手段になり得ると示す道しるべ的な存在になることを目指しています。

  • 2025
  • Influence Award

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勝者

Huaynakana Kamatahuara Kana

エクストラクティビズム(採掘主義、Extractivism)はペルーのクカマ(Kukama)族の土地を脅かし続けており、クカマ族の文化的アイデンティティの喪失をもたらしています。

クカマ族は自らの土地を一つの大きなまとまりと捉え、特に女性はその土地と本質的に結び付いていると考えます。例えば、”クカマ(Kukama)”という言葉は2つの言葉で構成されています。”ku”は「畑」を意味し、”kama”は「胸、乳房」を意味します。つまり、Kukamaという言葉は「畑の胸、乳房」または「畑から栄養を授かる」といった意味になり、クカマ族の生活がマラニョン川下流域の森林生態系と深く結びついていることをよく表している言葉です。何十年にもわたってクカマ族は現地の生態系に適応し、共生してきました。この土地と川を民族の文化や生活様式から切り離すことはできません。クカマ族は、このマラニョン川が精霊と共にある生きた存在だと考え、神聖視しています。

2001年に設立されたHuaynakana Kamatahuara Kanaは採掘産業の影響で川の健康状態が悪化する中、環境正義を求めて集団行動や抗議活動、動員といった長い旅路へと歩を進めました。

2021年9月、Huaynakanaはペルーに対して、マラニョン川を生きた存在として権利を有するものだと認識するよう求める、憲法訴訟を起こしました。2024年3月、Nauta地方裁判所はマラニョン川に本来備わっている権利を認める判決を下しました。これは、マラニョン川のもつ流れる権利、汚染から解放される権利、そして環境的健康を回復する権利も含むものでした。また、この判決は先住民コミュニティがマラニョン川の法定代理人であり、守護者、そして擁護者であることを認めるものでもありました。この画期的な判決は昨年11月に上級裁判所によって批准されました。

Huaynakanaはマラニョン川の権利を擁護する重要な役割を担っており、森林再生の活動を通じて水路の再生と保全をサポートしています。この川が無ければこれらのユニークな森林は存在し得ないからです。

  • 2025
  • Influence Award

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